導入事例case study
紙ベースで行っていた非効率な業務を解消!
より適正な労務管理と働き方改革を実現する 勤怠管理システム「勤時」とは
株式会社ウチダテクノ様
内田洋行の100%子会社である株式会社ウチダテクノは、オフィス内装の施工管理や印刷、製本機械の販売の省力化機械事業などオフィス環境構築を事業の柱とする会社だ。同社では長きにわたり勤怠管理を紙の書類で行っていた。そのため社外で内装工事や営業に従事する社員の出退勤の把握が難しく、給与システムに勤務時間を入力するのも手作業であったため、労務管理を適正化する必要性を感じていたという。本稿では、同社が勤怠管理システムを導入したことで、長年の課題を解決した事例を紹介したい。
導入前課題・問題点
膨大なチェック業務を担当者の“職人技”に頼っていた「給与支払い」
ウチダテクノでの勤怠管理は出勤時間を紙に記し、退勤時も同様に紙に時間を書いて上司の決裁をもらうというスタイルが、ここ何十年もの間に慣習化していた。
日々の出退勤だけでなく、残業や休暇の申請もすべて紙の書類で行っていた。勤怠表を1カ月まとめて記入するようなケースも常態化しており、同社では勤怠時間の管理に困難が生じていたという。
中でもオフィス内装は、いわゆるビジネスタイム以外の夜間や土日に作業を行うケースがどうしても多くなる。社会課題となっている働き過ぎを抑制するためにも、勤務状況をきちんと管理することは必須テーマとなっていた。
同社では残業時間に応じて翌日を休日にできる「勤務免除」や、特定条件のもとで休暇を取得できる「特別休暇」などの制度も実施しており、管理はより複雑になることから、すべてを紙ベースで対応することに限界を感じていた。
現場での勤怠管理が紙ベースであったため、給与支払業務においても担当者の作業負担は膨大なものになっていた。株式会社ウチダテクノ 管理部 総務・人事課 課長の中後隆氏は次のように振り返る。
株式会社ウチダテクノ 管理部 総務・人事課 課長の中後隆氏は次のように振り返る
「当社は社員が約180人在籍していますが、現場で勤務する社員がかなりの割合を占めています。
勤怠表を紙に書くせいか、勤務時間の計算などが間違っていることもよくあります。その勤怠表の紙を見て、当課の宮下智帆という担当者が、すべての数字をExcelと電卓を使ってチェックしていました。残業時間や勤務免除・特別休暇等に該当する時間なども就業規則に照らしたうえで割り出し、さらに給与システムにも手作業で入力していたのです」
その業務はまさに“職人的”なものだったと中後氏は言う。
作業量は膨大なもので、チェックから給与システム入力までのフローに毎月1週間程度を費やしていた。
「給与に関わることですから数字は決して間違えられません。宮下にとっては神経をすり減らす大変なストレスであったと思います」
と中後氏。
その労力がすべて宮下氏の肩にのしかかっていたうえ、業務が属人化していた。
宮下氏が病気などで欠勤した場合は“職人的”なスキルを持たない他の社員が代行せざるを得ないわけだが、そうすると当然ながら宮下氏よりもさらに多くの時間を費やすことになり、給与支払いが遅れてしまう可能性すらあったという。
導入後の効果
勤怠管理システム「勤時」の導入で長年の課題解決に乗り出す
同社はこの事態を傍観していたわけではない。
中後氏の前任者が同課長を務めていた2015年から、勤怠管理システム導入の検討も一度はスタートしていた。
ただ、当時は諸事情でストップし、2年ほどして検討を再開。2018年から具体的なソリューション選定に進んでいったという。
同社は建築工事に関わる業務について、他社製原価管理パッケージで日報・原価管理を行っていた。
そのため、同システムと連携したデータ受け渡しができるかどうかが最大の選定ポイントになったと中後氏は強調する。
「私自身は2019年7月に総務・人事課の課長となったので、ソリューション選定時は前任者・宮下が勤怠管理などのキーワードでソリューションをインターネットで検索し、気になったものについて問い合わせ、当社でのデモを依頼し、実際に機能などを見たうえで比較していったと聞いています。計6社に当社の課題をお話しし、提案をいただきながら、半年かけて検討を進めていきました」
その結果、同社が選んだ勤怠管理システムが、科学情報システムズが提供する「勤時(きんとき)」である。
「勤時」は、労務・工数管理を効率化して総務人事部門等の勤怠管理やプロジェクト管理業務をサポートし、社員の健康管理、そして働き方改革にもつなげられるソリューションだ。
業種・業務・従業員規模にかかわらず、複雑な就業体系を持つ企業の勤怠管理にもカスタマイズによって柔軟に対応できるのがポイント。
また、連携するシステムに合わせたカスタマイズを柔軟に行えるのも特徴といえる。そのため、他の市販パッケージでは対応が難しいケースでも採用実績が多い。
こうした点から、ウチダテクノのように業界独特の慣習と複雑な勤務制度があり、さらには他のシステムとのデータ連携も必須であるような環境にこそ、まさにフィットするソリューションだ。導入作業はすべて科学情報システムズが担うため、その点でもこうしたシステムの専門部署を持たないウチダテクノにマッチした。
さまざまなソリューションを比較する中で「勤時」を選んだ最大の理由は、同社が施工現場で利用する他社製原価管理パッケージとスムーズに連携できるシステムがほかにはなかったからだと中後氏は言う。
「現場では先行して他社製原価管理パッケージを導入していましたから、そこに加えて新たな勤怠管理システムにもデータ入力を依頼するのでは作業負担が増し、現場の理解が得にくくなります。データ連携が可能な『勤時』であれば、そうした二重入力の懸念がなくなりますし、勤務免除などの複雑な就業ルールにも柔軟に対応してくれますので、労務管理の適正化を一層推進できるというのが採用の最も大きな決め手でした」
最終的に2019年7月の役員会で「勤時」の導入が決定。
そのタイミングで中後氏が総務・人事課の課長となり、以降の導入プロジェクトを牽引していくことになる。
稼働開始から1年が経過し、大きな成果を実感
稼働開始から1年が経過し、大きな成果を実感
導入過程での最大のハードルは、他社製原価管理パッケージで管理する現場の工事に関するデータと「勤時」との連携だったという。
「当社は工事数が非常に多く、毎月約400件の案件が発生・完成するので、いわば工事に関するデータが頻繁に出入りしています。そうなると、労務時間を打刻する際、システム上で案件を探すこと自体が社員の手間となってしまいます。加えて、現場ではパソコンよりもスマートフォンを使うほうが便利に感じるでしょう。
ですから、現場社員が案件を探しやすく、かつデータ入力をしやすい仕組みにすることを重視して、標準機能のバージョンアップという形で対応してもらいました」 デフォルトでは連携したシステムから送られる全工事案件がプルダウンのリストで一斉表示される仕様だったが、「案件を選ぶ作業に手間がかかる」との声が同社から寄せられたことを受けて、科学情報システムズは案件名の一部を入力すると候補を絞り込める機能を用意。
これで使いやすさが大きく改良された。
「『勤時』から給与システムに送るデータについても、当社の就業規則をとことん読み込み、複雑な勤務体系に対応してもらえました。
プロジェクトを通じて、科学情報システムズには安心して任せることができたと感じています」
と中後氏。
ちなみに給与システムに関わる部分では、宮下氏が職人技で処理を行う場面に科学情報システムズの担当者が長時間同席し、宮下氏が入力するデータと「勤時」が給与システムに送るデータを突き合わせる検証作業も行ったという。
導入プロジェクトは、当初半年だった予定を4カ月に繰り上げ、2019年11月に「勤時」のシステムが稼働開始した。
年末や年明けはどうしても忙しくなるため、11月に使い始めたいという要望を科学情報システムズに伝え、問題なくスタートできたという。
導入から1年以上が経過するが、成果として中後氏は真っ先に「現場でのデータ入力から給与システムへのデータ受け渡しがスムーズに行えるようになりました。
これまで宮下が苦労していた毎月1週間の勤怠表チェック作業が一切なくなったことはやはり大きな成果です。時間を別のより有意義な業務に充てられ、ストレスが軽減されたと聞いています」と語った。
さらに、勤時側で工数登録(たとえば、「A工事10時間」といったような名称)を行って原価管理システムへ連携したことで、二重入力を排しつつ効率的なデータ管理が可能となった点も成果として挙げる。
そのほか、コロナ禍の影響で時差出勤を導入しているが、所定の勤務時間を満たしていれば始業時刻が定時と前後しても遅刻・早退扱いにしないような処理を科学情報システムズに依頼し、レスポンスよく対応されたことも評価する。ちなみに現場へのデータ入力の浸透は、導入当初こそ一部に戸惑う社員がいたものの、最近は問題なく運用できているという。
最後に中後氏は
「現時点ではシステムによる効率化に加えて、月あたりの残業時間が一定水準に達するとアラートを発するところまでは実現できています。今後はシステムで管理する出退勤データをさらに活用し、より適正な労務管理につなげていきたいですね」
と展望を語る。
「勤時」のほうでもアップグレードを重ねながら、ウチダテクノの働き方改革をサポートしていくことだろう。